今回キャリアコーナーでご紹介するのは、グラフィックデザイナー・アートディレクターの大原葵さんです。カナダのアパレル企業から不動産企業までデザインを担当されている大原さんに、広告から見えるカナダと日本のカルチャーの違いについてお話を伺いました。


Q.現在までに至られたバックグラウンドを教えてください。

日本の広告会社に9年ほど勤めた後、バンクーバーに来ました。当時は特にグローバルな日本企業のディレクションが多くなってきていたのですが、格好いいものを頭で考えて作るより、自分自身がその環境に身をおく必要性を感じたタイミングでした。

Q.カナダと日本での就労経験を通して気付いた、デザインや働き方の違いはありますか。

広告写真でいうと、日本では清潔感のあるものが好まれますが、カナダではより個のパーソナリティが見えるような自然なトーンのものが多いです。例えば、一般的なスーパーで売られている冷凍食品のパッケージに、両腕にタトウーをしたモデルがチキンを持っているのが描かれているのを見た時は、カナダらしいなと思いました。また、セレブリティを多く起用して緻密なストーリーテリングで構成される日本に対し、カナダは実際に働いている方がモデルになっていたり、逆にグラフィカルなデザインのみで展開されていたりします。全体の調和の美しさを重視する日本と、企業と個人、それぞれがブランドであり、セレブリティの知名度のみに頼ることなくブランディングを作り上げる、カナダの文化や業界の構造、オーディエンスのメンタリティ的な違いが反映されていると思います。

コピーライティングはイギリス英語の影響からアメリカのブランドとはまた違うルールがあったりします。

多文化の北米では、誰に伝えたいのかをより明確にし、ビジュアルのギアチェンジをすることを心がけています。とはいえ、私がロゴをボスに見せた際には、「So Japanese!」と言われたことも。(笑)

また、とにかくカナダは意思決定や制作のスピードが早いですね。

Q.これからの抱負を教えてください。

垣根を越えて、さまざまなフィールドの方たちと仕事をしていきたいです。


グラフィックデザイナー・アートディレクター
大原 葵

栃木県出身。韓国人の祖父の影響で外国の文化に興味をもち、カナダ式インターナショナルスクールの高校に通う。アートクラスの教師のすすめでデザイナーを志し、多摩美術大学を卒業後、東京の広告会社において国内外のクライアントのビジュアル制作を担当。​​その後2022年に​渡加し、バンクーバーのデザイン会社数社にてグラフィックデザイナーとして勤務。2025年よりロサンゼルスの広告代理店にジョイン。大のコーヒー好き。

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